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花弁のしずく
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『花弁のしずく』に投稿された感想・評価

菩薩
3.5
母への深い憎悪、性に対する圧倒的な嫌悪感により不感症に陥っていた一人の女性がそれを克服し主体性と快楽を取り戻す話、ってなんかその時点でめちゃくちゃ文芸な気がする。しかもその第一歩が敗戦の最中SEXに興じる母の姿を見てしまったからってのが強烈だし、二度の強姦の片方にバター犬が出てくるインパクトも凄い。観念的ではあるが非常に真っ直ぐな話、鶴岡八幡宮の参道も産道らしい(って人力車ニキが言ってた)から落とし方としても丁寧なんだと思う。結局好きな男に抱かれたいのよ女は(何目線だ)。
ヒロ
3.6
過去のトラウマが原因の不感症を患う妻との性行為に不満の夫は妻の友人や女中と不倫を重ねる。妻はその事実を知り、自らの性欲を抑圧しながら良き妻を続けるべきか、初恋の紳士な医師のもとへ助けを求めに行くのか、という葛藤が描かれる。

クローズアップとズームで登場人物の心情を強調し、妻のアイコンとしてのミロのヴィーナスやミトゥナ像などの小道具、そして一番の見所は妻の中に巣食う過去のトラウマを表す前衛的芸術モンタージュ、網タイツを履いたバイブやきのこの山をでかくしたようなフォルムのコルクなど昔の大人のおもちゃがかなりエモかった。冒頭で凍っていた水辺がラストに溶けているという直接的な比喩表現も実に映画的で気持ちがいい。非常にバランスのとれたロマンポルノ。

田中登のデビュー作を観ることができたという達成感と、ラピュタ阿佐ヶ谷の雰囲気の良さに酔いしれた一日。

《忘れられない中川梨絵》
性的不感症を抱えている華道家元の新妻(中川梨絵)が、夫(三田村玄)と友人(白川和子)の肉体関係を見透かしてしまう。人並みの性生活が築けない女性の葛藤劇を描いている、日活ロマンポルノ。田中登監督のデビュー作。

主人公夫人の不感症が着火点となり、周囲に誤解と思い込みが発生。由緒ある家系を揺るがす、厄介な存在になってしまう。ひとりの女性の中で渦巻く混沌の世界を、田中登特有のイメージの連鎖で紡ぐことに成功している。

精神科医(長弘)による治療のシークエンスでは、催眠状態ではなく素の状態の主人公が過去の出来事を独白。一応、エロ要素としてバイブレーターを用いた治療法が登場するが、昔の治療院で実践していた史実を知ったうえでの起用かどうかは分からない。

セックス嫌悪の原因が予想通りの着地を見せるため、ドラマの新鮮味は皆無。だが、犯し屋が定着する直前の高橋明が猛烈にハッスルして、中川梨絵が和服を乱しながら悶絶するため、絵面の面白さで引っ張られる。

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1986年06月14日

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3.7

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