バナバナ

聖の青春のバナバナのレビュー・感想・評価

聖の青春(2016年製作の映画)
3.0
原作は、村山聖さんの近くでずっと彼を見てきた方が書かれたそうで、その村山さんの壮絶な生き方に感動するらしいのですが(原作未読)、この映画を観た限りでは、そこまで感動は出来ませんでした。

ウィキベキアを読むと、村山さんが1年間休戦して治療する事を決めた時に、
師匠が「1年休んだら弱くなるぞ」
村山「命の方が大事です」
師匠「変わったな…」
というやり取りがあったそうですが、
この師匠は村上さんが中一で故郷の広島から大阪に出てきた時に、
自身も独身であるにも関わらず一緒に住んで、病に臥せがちな彼の為に、彼の大好きな少女漫画を買いに走ってくれる様な優しい師匠なのです。

しかし、そんな優しい師匠が、上記の様な非情な言葉を吐くとは、
それ程プロ棋士の世界は厳しいのか…と、それがよく分かるエピソードなのに、この映画に入っていたでしょうか?
それどころか、そもそも1年休むという決断が、村山さんにとってどれ程断腸の決断だったのか、なども、この映画からは全く伝わってきませんでした。

私が思うに、原作が素晴らしいのなら、やはり、映画化の脚本の組み立て方が悪かったと思うのです。
もしこの作品の脚本を、野木亜紀子さんや森下佳子さんが担当していたら、原作通りに村山聖さんの生き方を世に伝える、素晴らしい作品になっていたと思うのに!
松山ケンイチさんや東出昌大さんの演技が良かっただけに、悔やまれます。
バナバナ

バナバナ