10円様

パターソンの10円様のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.5
ロシア民謡にニェジェーリカってありますよね?映画の内容はあんな感じです。

アダムドライバー演じるパターソン市にすむパターソン氏の1週間を淡々と綴り、物語が一遍の詩になっているかのような。よって大きな抑揚もなく、喜劇も悲劇もなく。淀みない川の様に物語は流れ、いやそこに物語があるのかという錯覚もおこし。ではジムジャームッシュは何を描きたかったのか?きっとパターソンって町を描きたかったんだろうな。1人の芸術家を取り巻く何気ないけど感性に訴えるものが溢れる町を。

で、パターソンって町を調べてみたんですが、とても著名な芸術家を出していて、今もなお多くの芸術家が住んでるとか。映画では街並みもどことなく古風で、ここ本当にアメリカ?ってくらいの様式でした。何でも都市開発をリードしていたのがフランスの方のようで、それも関係あるのかな?無いか。ただ実際はこんな雰囲気の町じゃないよ。これはジャームッシュの脳内変換だよって意見もあるようですが、ニュージャージーの片隅にある町の素晴らしさを、己の作家性と愛情で魅せてくれたジムジャームッシュに感謝です。

映画館ではいびきも聞こえてきましたが、静かな笑いも所々で。そしてその笑いに多大な貢献をしたのが、犬のネリーちゃんでしょう。エンドクレジットでは上から3番目に名前が、しかもネリーの思い出とかいう一文も。納得!「アーティスト」のアギーを思い出します。

永瀬正敏は・・ごめんなさい、あんま要らなかった。
10円様

10円様