パターソンに住む、パターソンってうバスの運転手が詩人で、何気ない日常なんだけど……と、他人に話していると、どんどんネタが浮かんできて、じわじわキてしまう映画。
随所に現れる双子(ツインズ)だとか、内装の変化とか、バス移動中の独特のリズムとか、オフビートも含めて。これって「詩」「韻文」そのものではないか。
ツインズは付(つい)の表現、対句や、同じ音の繰り返し、韻。リズムも韻文の欠かせない要素だ。
そして、生活や職業まで、世界は「詩」であるということ。
モノクロのように淡いトーンの映像も、日常も詩的なのだ。
派手ではないが作中にある「中間韻」のように。
その意味でも、ジム=ジャームッシュ監督の集大成と言われているとおりだ。詩的というスタイルが、彼のエッセンスだったのだ。
また、アダム=ドライバーの特徴のある風貌が、この世界観に実に合う。『スターウォーズ』にも出演しながら、こういう映画にも招かれる。
唯一無二の俳優だ。アハ。