ねーね

ヴィクトリアのねーねのレビュー・感想・評価

ヴィクトリア(2013年製作の映画)
3.0
トーキョーノーザンライツフェスティバルにて。

19世紀末のノルウェーはこんなにも繊細で美しかったのか。
最後までただただぼんやりとした輝きをまとって、情愛と悲壮に満ちている。
ひびの入った曇りガラスから、なす術もなく悲しい結末を見守っているような。

物語は、領主の娘と粉屋の息子の身分違いの恋。
ヴィクトリア役のイーベン・オーケルリーは、19世紀のノルウェーに舞い降りた天使のよう。
陶器のように白い肌と 透き通った青い目から、片時も目を離せなかった。

両者の不必要なプライドと優柔不断さにやきもきしてしまうけど、
そのつかめそうでつかめない曖昧な距離感すら、今にもこわれそうな美術品のようで、むしろそのままでいてほしいと願ってしまう空気感がそこにはあった。
やっぱり、結ばれない愛にこそ最上の美しさを感じるんだろうなあ。
ねーね

ねーね