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ゴッホ~最期の手紙~のhirogonのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
4.0
まず、この作品を見ようと思ったきっかけですが、特にゴッホが好きという訳ではありません。
FILMAGAで紹介されていた以下の紹介文で、「これは、見なくては!」と感じたのです。こういう想いの詰まった作品、好きです(笑)

(ちょっと長いですけど、そのまま読んで欲しいので、まるっと引用)
~以下、FILMAGAからの引用~
「驚くべき企画は、彼の作品を愛し尊敬する人々の手により、これまでにない衝撃の制作方法で見事実現します。
俳優が演じた実写映像を特別なシステムでキャンバスとモニター画面に投影。その画像を元に、世界中から集められたゴッホのタッチを完璧に習得した125名の画家たちが、彼が描いた人物の風貌や雰囲気と実写映像とをうまく混ぜ合わせ、1コマずつ油絵にしていった。
物語の中で現実のシーンはカラー、回想のシーンはモノクロで描かれており、その全てのシーンを気が遠くなるような手法で1枚1枚描き上げた後、高解像度で撮影。1秒に12枚ずつ投影することにより“動く油絵”を生み出すことに成功したのです。

本作の上映時間は96分ですが、その全編が、画家たちの手によって1枚1枚描かれた62,450枚もの絵画から生まれた、前代未聞の映画作品なのです!」
~以上、FILMAGAからの引用~

吹替版で鑑賞。吹替で全く違和感ありませんので、画面に集中する意味でも吹替版をお勧めします。
さて、ということで感想です。
まずは、その映像について。
実写ともアニメとも異なる、まさに”動く油絵”!過去にない映像を体験できます。
人物は、元は俳優が演じているものを絵画にしているので、ちょっと実写っぽい動き。背景は本当に”ゴッホの世界”!
油絵の人物がゴッホの風景の世界を動き回ります。何か夢の世界に迷い込んだような、妙な感覚に陥ります。
回想シーンは、モノクロ絵画で表現されますので、ゴッホの色使いやタッチとは異なり、ちょっとリアルな感じになっています。

一方、ストーリーの方は。
ゴッホは、一般的には自殺したとされていますが、実は自殺か他殺かはっきり断定できない部分があるようです。
本作では、フィンセントから弟テオへの手紙を託された語り手のアルマン・ルーランが、手紙をテオに届けようとするところから話が始まります。
テオを探す過程で、彼も既に亡くなっていることを知り、フィンセントの死の謎を探っていく内容になっています。
手紙は、最終的にフィンセントの最期を看取った医師ガシェを介してテオの奥さんに届けられます。
それまでの過程でフィンセントの晩年に関わった人たちから話を聞くうちに、フィンセントの死に至る事実が徐々に現れてきます。

本作は、フィンセント・ファン・ゴッホの晩年を知ることができる内容になっています。フィンセントとテオの兄弟愛が心に響きます。
少しでもゴッホに興味のある人なら興味深く鑑賞できると思います。
私も、ゴッホについて常識程度の知識しかありませんでしたが、少し親近感と愛着が湧きました。

ゴッホの世界を”動く油絵”で再現したからこそ表現できた唯一無二の映画となりました。この作品に関わられた企画、スタッフの方々に拍手!
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