めしいらず

白い朝のめしいらずのレビュー・感想・評価

白い朝(1965年製作の映画)
3.2
パン工場で共に働く数人の若い男女が、車一台を駆って夜の街へ、遠く海へ飛び出していく。今を、この刹那をただ愉しみたい。カレーも、ボーリングも、ダンスも、車の故障だって愉しい出来事。そして異性との付かず離れずの、でも互いを意識し合った微妙な空気も。やがて夜空は白んでいき朝が来る。またいつもの日常が始まる。一晩中寝ずに遊んだ後の帰り道にはみんな夢の中。実に他愛ない。「起きてても夢みたい。ずーっと続いててほしいんだ。晩の夢は逆夢だから」。この感覚を知らぬ人はないだろう。若さの特権のような淡い時間を瑞々しく捉えた名編。あの勅使河原宏がこんな映画を撮っていたのが意外だった。武満徹のジャズも素敵。美貌の主人公を演じた入江美樹は小澤征爾夫人とのこと。
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