偶然にも昨日の『The King of Comedy』と同じように幻想と現実の区別がつかない主人公を中心とする物語をまた選んでしまった…。しかしながら、全くタイプは異なっており、本作は狂気じみていく様が恐ろしくもあるが、どこか美しさも感じる。ナタリー・ポートマンのひとつひとつの表情や仕草に惹き付けられずにはいられない。
バレエ学校や学団のドキュメンタリーなどを観たことがあるが、確かにこの世界はどこか他の踊りや競技の世界とは異質のものを放っていると感じた。華麗な美しさの裏に孕む、嫉妬や不安、恐怖などが本作では見事に描かれている。かなり好みが分かれそうではあるが、私自身は結構好きだった。
｢自分を解き放つこと｣
それこそ案外、難しいものだ。優等生タイプで臆病とも言えるニナが、自分の欲望や感情を極限に至るまでに解放したバレエ姿は鬼気迫るものがあった。驚くほどに麗しい。役に取り憑かれるとはまさにこの事かと。ラストで完璧だったと告げる姿はバレエに魂を捧げたニナだからこそ、心に訴えかけるものがある。
エンドロールも本作の雰囲気を壊すことなく、最後まで余韻に浸れるように工夫されていた。
ナタリー・ポートマン好きの方は是非一度ご鑑賞をオススメします。痛々しい描写が多々あるのでそこにはご注意ください🩸
