イベリー子豚

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのイベリー子豚のレビュー・感想・評価

3.7
違う、そうじゃない。



こんな世の中でも言いたいことは言う
ポイズン・イベ子に眠る【鈴木雅之】氏が
全力で歌い上げる今回、
異例ではありますが
ここからはトム・ブラウン方式で
物申したいと思います。






「どうも~トム・ブラウンです~!
よろしくお願いします!~」
「あのさ、『インディ・ジョーンズ』って映画があるじゃないですか」
「ありますね!主演が【ハリソン・フォード】で
大人気シリーズの!」
「だから今日は、15年振りの新作!
42年にわたる冒険の最終章を記念して
歴代の秘宝を集めて
最強の【アルキメデスの羅針盤】を作りたいんですよねぇ」
「【アルキメデスの羅針盤】~?」
「まぁただ、あの【運命のダイヤル】を作るのはとても難しい……だが俺は作るぞ……絶対に!」
「……ずっと、何言ってんすかねぇ!!?
アルキメデスって言ったら【菅田】くんが
【ベーやん】とチョメする【大戦】のお話じゃ……
ないんすかねぇ!?
まぁ……でも、何かスッゴい面白そー!!
ちょっと作ってもらいましょうねコレ!!
やってもらいましょう!!」
「【アーク】です!【サンカラストーン】です!
【聖杯】です!『007』です!『Mi:』シリーズです!!合体!!!」
「あれ!??レガシー三部作以外に
ハリウッド・ビッグマネー・スパイアクション活劇
が混ざってるぞ~!!?
一体、どうなっちゃうんだぁ~!!!??」
「『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』です!!!」
「ダメぇーーーーっ!!!」



以上、【UNIVERSAL】に引き続き
【Disney】100周年でも愚行を繰り返してしまった
【スピルバーグ】先生と
『スター・ウォーズ ep.9』という
誰一人望まないエンディングを迎えた
マスター・【ルーカス】へのテーゼでございました。






※ここから先はネタバレも含みます。
ご注意ください。




















麻袋を被され拘束。
横スクロール列車移動アクション。
洞窟トロッコを思わせる暗闇サイドカー。


冒頭からノンストップで
「さりげない」どころか
「あからさま」なほど
「レジェンド三部作+1」に対する
オマージュや似せたシーンの数々。


違うんだ。
そうじゃないんだ、ファンサービスっていうのは。


特に
「パレード前後のドタバタ騒動」
「旧市街でのカーチェイス」。


『ワイルド・スピード』
【イーサン・ハント】
【ジェームズ・ボンド】の影響受けすぎ。


全くもって
「フーテンのこどおじ考古学教授(退職直後)」に
させていいアクションじゃない。


深い首のシワ。
丸くなった背中に浅い呼吸。
覇気のない声量に疲労の滲む頭皮。


「アドベンチャーの面白さ」より
「心配」と「切なさ」が勝ってしまう……。


こんなものは俺たちが観たかった
【教授】じゃない。


次世代だろ。後進の育成だろ。
未来の可能性だろう!!


80歳に無茶苦茶されても
「あぁ年金足らないのかなぁ~」とか
「俺たち世代の頑張りが許せないのかなぁ~」とか
マイナスな感情しか湧いてこない。


2代目を信用しないで
一生、第一線で幅を利かせる老害。
家族経営の末期症状じゃん。


サブでいてよぉ。
アドバイザーでいてくれよぉ。


俺たちは成長と経験を重ね、ようやく
【ショーン・コネリー】のポジションになった
【Jr.】の活躍が観たかったんだよぉ。


センターは若者に譲って
そっと隣で導いてやってくれよぉ。



「あの作品は長年のファンを失望させてしまった。
申し訳ない」発言をした
【シャイア・ブラーフ】を
許せないのは分かりますよ。

でも……
いくらなんでもヒドイじゃない。


【ミア・ゴス】共々、
夫婦の絆を見守ってあげてくれよ。


小ネタの出オチ扱いな
【ロンギヌス】や【バンデラス】も大概だけど
せめて、息子の写真ぐらいは……。


チョビひげニセ【ショーティ】なんて
お呼びじゃないのよ。
(【キー・ホイ・クァン】はちょっと期待してた)

「そこは左だってぇ!」じゃないのよ。



立ち位置やキャラ、ビジュアル(年齢)まで
あらゆるポイントが
中途半端なヒロインもよろしくない。


20代……なんなら10代後半で【テディ】との
恋仲にした方がナチュラルだった気がします。
(『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』になっちゃうやん!でもそれで良いやん!!)


もしくはいっそ、息子の恋人として
「ミス・ジョーンズ爆誕!」で
新主人公に抜擢するべきだったんちゃう?



お次にヴィラン。

【マッツ】が悪いとは言わない。

ナチス→邪教→ナチス→ソ連
と来てナチスに戻るのも……まぁ良しとしましょう。

ただ理念がよく分からない。

シンプルにネオナチってことなのか。
旧体制への盲信なのか。

ヒトラー信者でもなく
ロケット開発に貢献しアメリカ政府にも
貸しがある大物の割りに
繰り出す一手が全部ショボいし悪手。


モデルになった実際の人物がいるのかなぁ。
どうにもこちらのキャラも弱い。

邪悪な敵として矜持が見えません。


むしろ手下のチョビヒゲ達の方が
殺人を楽しんでて怖い。


歴代の悪役は「ただのワル」に収まらない
「先回り能力」と
「ウィットに富んだカリスマ性」が
あったじゃない。


仮に
「ヤバい部下の暴走に振り回される
舐められ系の首領」がやりたかったなら
もっと追い込まれる【マッツ】の負け顔を観たいんよ。




そして最大は
オカルト(超常)に全フリしたストーリーよ。



前作も相当、路線が違ってたけど
今回はほぼ『トゥームレイダー』やん。
(ただし【キンタロー。】の方が面白い)


おかげで一番の魅力である
「紀元前レトロなアナログ遺跡ギミック」が
まぁ弱い。


正直な話、
『アンチャーテッド』のワクワク度を
大きく下回ってます。


なぜなんだ?
俺たちは謎解き冒険バラエティを観に来たんじゃないのか!!??



最後は【運命のダイヤル】ね。

それ自体が
「タイムマシン」じゃなく
「ナビ」「マップ」の範疇ってのは置いといて
「空中に出現する理由」
「裂け目が維持出来る時間」
「往復が直通なのかどうか」……
全部をパワープレーで誤魔化すのはいただけない。


古代ギリシャ・ローマに想いを馳せる
悠久の歴史ロマンじゃ解決出来ないモヤモヤを
クライマックスにご用意しないでください。


それに
もっと「マルチバース的」に過去の悲劇を
改変しまくる使用法なのかと思いきや
ハプニング一発って……。


【ヤング・インディ(リヴァー・フェニックス)を含む】との共闘は観せてもらえないのかよ。





なんだったんだろうなぁ……。


結局のところら154分をフルに使って
【Dr.エメット・ブラウン】主役、
【マーティ・マクフライ】も
【緑ジャージ・ビフ・タネン】も不在の
完全新作『BACK TO THE FUTURE Ⅳ』を
作り上げてしまったのかな。


決してつまらないワケじゃない。

でも、違う。そうではない。

【デッカード】や【ハン・ソロ】では
「魂とロマンの引き継ぎ」が出来てたじゃないか。


どうやら
流行りの蛙化現象に
イベ子もヤられてしまったようです。



来たるべき
『キャプテン・アメリカ/ブレイブ・ニュー・ワールド』では
もう、こんな思いをさせないでおくれ。



《じゃあ、痛くないところは?》