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インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのEeeのレビュー・感想・評価

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私の幼少期の憧れは紛れもなくインディーで、バックグラウンドには常に神様John Williamsの音楽が流れていて、映画の楽しさを教えてくれたのもこのシリーズ。
永遠のヒーローの最後の勇姿を目に焼き付けることは、怖くもあり、待ち焦がれていたのかもしれない、そんな撮影着手を知ってからのここ数年でした。

エンドロールにCovid対策チームの明記があるのに気づき、パンデミック下のハリウッド、映画業界、クリエイターたちがどんなに歯を食いしばったか、今彼らがどんな思いでいるのか、涙ながらに考えてしまった。

ファンとして未鑑賞の方にひとこと言えるのは、Raiders Marchを映画館のスピーカーで聴ける最後のチャンスを逃さないでほしい。それだけです。

【以下ほんの若干のネタバレ含】

映画館に行く数時間前にたまたま魔宮を復習していたので、随所に散りばめられたオマージュも存分に堪能。お決まりの大量の虫シーンとか、ウナギと言いつつウツボとか、やっぱり敵はナチとか、雑にばら撒く鉄板ネタは胸熱だった。
最後にKe Huy QuanとDr.Jonesを見たかった気持ちは否めないが、オスカーでの熱いハグを見たから良しとしよう。

積年の愛情から、今作の映画の内容や具体的な感想については語ることが難しいし、点数もつけられない。
スピルバーグも降りてしまったし、心のどこかで期待はしないでおこうか、と思っていた。

実際、何人かの方が“悲しいインディー”と表現していた、年老いて生きる希望を見失いかけた彼の姿は、確かに胸を刺すものがあった。あれだけ人気教授だったインディーが、つまらん老いぼれ教授ポジションになっていたのはとにかくつらい。私だったら最前列陣取るのに。

ただこれらのプロットも、インディーに憧れて生きてきたファンのための美しいクライマックスの為には仕方がなかった。

考古学に魅入られ奔走しながらも、数多の超常現象に目を眩ますこともなく、貴重な遺物は博物館に収め、教壇に立ち続けた気高き考古学者が、最後にアルキメデスと共に歴史に埋もれることを望む(学者としても、シリーズの流れとしてもタブー)。あのシーンのハリソンの複雑な表情がただただ凄かった。

人は老いる。記憶は薄れる。栄光は“過去の栄光”となる。
それでも何かを追い止める情熱や、追い求めてきた軌跡は永遠に消えない。映画の輝きも残り続ける。勝手に受け取ったそんなメッセージのせいで、エンドロールのメインテーマで涙が溢れ落ちた。このレビューを書いているこの瞬間も涙で画面が霞んでしまう。

40年もの間、全ての勇気と感動を届け続けたハリソン、スピルバーグ、ルーカス、ジョンウィリアムズ、故ショーンコネリー、リバーフェニックスに心からの愛と敬意を。そして勿論諦めずにゴールテープを生み出してくれたJames Mangold監督も。

すべての映画人に感謝を。

そんな込み上げるような感情を思い出させてもらっただけで、十二分に観る価値があります。 
Eee

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