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彼らが本気で編むときは、のplantseedsのレビュー・感想・評価

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)
4.3
『家族の在り方、そして、普通とは』

昨年公開邦画の中で、話題に上がった今作。
荻上直子さんの新境地といわれる作品。

<子育てを半分放棄し、男を追いかけいつの間にか母ヒロミはいなくなっていた。
そんな孤独を抱える少女トモは、叔父であるマキオと、その彼女であるトランスジェンダーのリンコと暮らすことに。
はじめ違和感を覚えるトモであったが、リンコがくれる深い愛情に徐々に自分が母からもらえなかったものを彼女との生活に見だしていく。
それはトモが感じる初めての家族の愛でもあった。
しかし、平穏も束の間、彼ら3人に向けられる世間の目は優しいものではなかった>

非常に温かみのある素晴らしい作品。

自分が印象的なのは、「普通って何?」という点。

リンコがトランスジェンダーという点から、普通じゃないから、
という理由で世間が彼らを遠ざける。

その曖昧な「普通」という言葉。

人間なら当たり前というか、異端者、異質なものを遠ざけるのは人の正常な心理なのだとは思います。

しかし、本当にそれでいいのか?
現代のいたるところに見られる偏見の問題。

その人の外面的な部分だけみて、自分の勝手な解釈でそういう人たちを簡単に片づけてしまう風潮。

なんか自分も普段生活していて、行動やその人の外面的な部分しかみないでその人が判断されない現状にものすごいフラストレーション…

西加奈子さんの小説「ふくわらい」の中にあるものですが、
「先っちょ」というキーワード。
みんな、その「先っちょ」でしか見てくれない。
「先っちょ」がその人のすべてになってしまう。

「先っちょ」=「その人の全て」という勘違い。
冷静に考えたら、そんなことはあり得ないし、簡単にその人を理解した気になっているだけなのに。

偏見はなくしたいし、その人の本当の姿を、
「何か大きなものから与えれる自分でない視点」ではなく、
「自分の視点」でしっかり見ていきたいと思うこの頃。
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