~決してぶれないマドレーヌ~
92歳のマドレーヌの「私は自分で逝く」という強い意志が最後まで絶対にぶれないところに衝撃を受けました。
死ぬと宣言した後に、赤ちゃんをとりあげたり、遠方の恋人に会いに行ったり、生きる喜びが感じられるようなエピソードが出てきたので、考えが変わるかも?と思ったのですが、彼女の意志は決して変わりません。
まずこの意志の強さが話の軸になっています。
そして、彼女を取り巻く家族それぞれの反応は、尊厳死を巡る様々な意見をそれぞれ代弁しているように思いました。
特に息子ピェールの非常にイライラした気持ち、とてもよくわかります。決して受け入れられないし、問題があまりに大きすぎてそもそも受け止めることもできないのです。すごく普通の反応だと思います。
そんな中で、娘のディアーヌは、受け入れられないけれども、マドレーヌの気持ちを理解しようとする。とにかく寄り添って理解しようとする。この事が監督が訴えたかったことだろうと思います。
またアフリカの死生観を語るお手伝いさんのヴィクトリアの存在が印象的でした。
非常に重いテーマを扱っていますが、マドレーヌとディアーヌが時折見せる笑顔、そして明るい色彩の映像に心が洗われるような思いがしました。