そのじつ

エル ELLEのそのじつのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
5.0
Amazonプライムの作品紹介文を鵜呑みにして観てみたら、ぜんぜん違っていて、面白かった!ミスリーディングをさせる為の釣り文句なのか。

世間的な好奇と蔑みの目にさらされてきた女性ミシェルが、他者にも自己にもまっすぐに向き合って立っている姿に胸がすく。

しっかりと立っている女たちのあいだで、フラフラと揺れ動く男たちの姿。女に慈しまれたり、突き飛ばされたりしながら最後までいいところがない。でも憎みきれない風にも描かれている。

「フェミニズム」のような単純な一言で覆いきれない。
自由でありつつ根っこでは背負ったものを全うする真摯さを感じる。惚れるわ・・。

えぐり込むようなバイオレンスとエロの描写が、痛みと快感を深めていてヴァーホーベンの力量を改めて感じる。また彼が描いているモノが変わっていないのが嬉しい。

追記:
友達のダンナと寝たことを、こともなげに友達に言う所。沖田✖️華の「毎日やらかしてます、アスペルガーで、漫画家で」にあったエピソードを重ねた。
同著者の風俗嬢時代の経験談も含まれる「こんなアホでも幸せになりたい」もちょっとカブる。
そこでミシェルはアスペルガー傾向のある人だったのでは…と思った。
だから何だ?というと、ミシェルには悪意が無いのだということだ。サイコパスでもない。彼女は息子が血の繋がらない子供に執着する理由を、自ら理解している。

だから日本の作品で言うと「コンビニ人間」みたいな所があるのかな。
その切り口で見ると「フツーじゃないヒト」がともかく真っ向勝負で人生に向き合っていく映画なんだ。だから清々しさを感じられるんだと思う。
それをヴァーホーベンが撮り、絶妙奇妙に意味がズレたり真実がシンクロして、こんなスリリングでエロティックで爽快な作品になった。
やはりサイコーな映画じゃないかw
そのじつ

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