ピッツア橋本

オクジャ okjaのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
4.2
“動物か食物か。優しくて悲しいスーパーピッグ、オクジャの存在が人間に改めて倫理を問いかけるハートフルなSFアニマルドラマ!”

Netflix限定配信映画。韓国アメリカ合作。
その昔『ベイブ、都会に行く』という豚が都会に出稼ぎに行くコメディ珍映画があったが何となくそれを思い出させ、そこに大人から見た動物愛護や食料問題をマイルドブレンドしたような作品。

とあるアメリカ食品会社の巨大食肉出資プロジェクトにより、韓国の山奥で10年かけて育てられた血統書付き巨大豚、オクジャ。
同種によるスーパーピッグコンテストなるものに駆り出される事になったオクジャだが育ての親である少女がそれを断固拒否。それはイコールオクジャが食肉として屠殺される事を少女は察していたからだ。
会社によって無理矢理アメリカへ連れて行かれるオクジャを追いかける少女。

そのチェイスの最中、黒づくめの謎のアメリカ人集団がオクジャの輸送を妨げ、少女に言った。
「僕たちは動物愛護団体で、君の味方だ。実はオクジャは遺伝子操作によって違法に作られた生物なんだ。僕たちはその事実を言及しなければならない。君も手伝ってくれないか?」
こうして少女、保護団体、会社によるオクジャの存続をかけた抗争が繰り広げられるのだった…


オクジャはフルCGだけど、半分リアル、半分アニメ的なバランスで、人語は話さないけど表情や仕草で感情がわかるような存在感で自分は程よいなあと感じた。カバと豚の間。ブスかわいい。
ちゃんと意思を感じる動きをしてくれる。

肝心のストーリーテイストに関してはポンジュノ監督にしては珍しく、ほぼバイオレンス表現は無く、子供が見ても伝わるくらいわかりやすいメッセージとユーモアで展開されるのが好感触。

主人公は無名の韓国少女で、脇を固める俳優陣たちは豪華。
ポールダノは優しくて責任感ある役柄にハマっていたし、ジェイクギレンホールはまるで90年代コメディ期のジムキャリーのような笑える演技と風貌をしているのが新鮮だった。

遺伝子組み換え食品と環境保護の相容れない関係性を主軸においたライトな社会派ドラマでもあるのが本作。
もっと世界的な飢餓が進行したら前者が当たり前になるんだろうなあと思うけど、
どうにか折衷案はないものか。

全然関係ないけど魚の流通やってる俺の親戚のおじさんは観賞用の熱帯魚と食用の魚を両方扱って生計を立てている。
そんな風に用途の棲み分けで回せる世界がこのオクジャ問題でも解決策になればいいなと漠然と考える。
ピッツア橋本

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