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オクジャ okjaのNAOKIのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.7
そのお店は香港郊外の牧場の脇にあって…とにかくそこの鶏丼は絶品だったし、おれが香港に来た頃…カルチャーショックを受けた店でもあった。

日本からのお客をよくこの店に連れて行った…
名物の鶏丼を頼むと小屋から生きたニワトリを引っ張り出して店の脇の作業場でさばく…
それは客たちの目にも届く…
これは日本のお魚の活き作りのようにショーとして観光客にわざと見せているのだ。
「豚丼」を頼むと豚こそその場では殺さないが、頭を大鉈でかち割るところを見せてくれた。

お客の中には気分が悪くなって食べられなくなる人も出るが…これを乗り越えて豚丼を一口食べると…とろけるような至福の味である。

ここは「人間の業(ごう)」を食らう店であった。

この映画はつまるところそういうことだ。
日本ではスーパーに行けばありとあらゆる肉や魚が綺麗なパックに詰められて整然と並んでいる…

家畜がパックに詰められるまでの工程は見ることもないし、見なくて済むようになっている…つまり…考えなくていいようになっているのだ。

「ノーカントリー」でシガーが使っていたあの圧搾銃で牛や豚の脳天をぶち抜くシーンは考えないで美味しい鍋がつつける国なのです。

肉や魚を食らうということはそういうことなのだ…つまり生きていくのはそういうことだ…と意地悪なポン・ジュノは突きつけてくるのです。

この映画を見たあと…ちょっと肉を食べたくなくなるよねって…
そんなのこの映画のポール・ダノたちALF(動物解放戦線)と同じで自己満足の偽善でしかない…
ほんとに地球上の動植物のことを考えるなら…人類が滅亡する以外…道はない…

ポン・ジュノはこのオクジャに知性を感じさせることによって、この解決のない話を「キングコング」のような切ないファンタジーにすり替えておれたちを楽しませてくれるのだが…

そんなことより…
おれは今夜も肉を食うし…ALFは動物もいいがジェイク・ギレンホールを救ってくれ!😸💦
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