パラサイトの監督作品。もっと「産業は悪!自然を大事に!」みたいな教訓めいた内容かと思いきや、先の読めないエンタメ映画としても面白かった。
教訓めいたところもあるんだけれど、善悪の二元論じゃない描き方が良かった。
企業はビジネスをしてるだけで(遺伝子組み換えを隠すのはだめだが)そこまで悪いことをしてる訳でもないし、ALFが絶対的な善とも描かれない。
それがショーのシーンで最高潮になった感じがした。両者がお互いの理念や信条を持って血なまぐさく争う中で、唯一少女と動物だけが寄り添う。涙腺が潤んだ。
「自然を代弁する少女vs過度な開発を進める企業」という映画ならいくらでもありそうなものを、ALFを登場させることでグッと深みが増している。
結局ALFも、信条のために少女や動物を利用するという点では企業と同じだからだ。
正義と悪ではなく、正義と正義の戦いという話はやっぱりリアリティがあって面白い。それを少女が当事者でありながら第三者として巻き込まれる作りも斬新に感じた。
音楽も印象的で、冒頭のスピーチから軽快なBGMがかかり、シリアスな内容なのにポップさを感じる。
ソウルでの逃走劇にかかる音楽も良かった。ジャズにヨーロッパや西アジアの民族音楽みたいな要素が入ったような緊張感とハイテンション。
追いかけっこが終わり、スローモーションになるところで急にバラードになるのもオシャレだ。
豚鼻の女の子の自撮りや追っ手に糞をかけるシーンもコミカルで韓国映画らしい。
そんなに期待してなかった分、予想外の面白さだった。パルムドール取るだけあるな。