りっく

オクジャ okjaのりっくのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
3.7
ポンジュノらしさ全開の一作。例えば地下の商業施設でオクジャと人間が追いかけっこをする場面で、勢い余って壁に激突しながら、あるいは転倒し不格好になりながらも、人間も動物もアクションするような姿を見ると、ポンジュノ映画を見ていると実感する。決してスマートではなく、雑多でとっ散らかっている。だが、その枠からはみ出た部分から滑稽さや情が色濃く滲み出てくる。ガラスの扉を飛び蹴りで蹴破る場面など、自作のセルフパロディまで披露するなどサービス精神が炸裂していて嬉しい。

一方で社会への批評性、鋭いまなざしも健在。オクジャという存在を人間の都合で、ペット、保護対象、被験者、広告塔、商品、家畜、食料とコロコロと変わっていく。オクジャは資本主義社会で生み出され、生かされた被害者だ。

ラストに少女とともにオクジャは子豚と田舎で暮らす。だが、依然と同様の生活ができるのだろうか。少女も純金の豚でオクジャを買い戻し、資本主義社会の欲深さを覗いてしまったのだ。僻地や子供にまでその病理が巣くうことへの警鐘が、耳をすませば聞こえてくるかもしれない。
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