傷はどう癒やされるのか、きれいごとでなく誇張もせず、ただひたすら映した滲みる映画。
元妻を演じるミッシェル=ウィリアムスがいい。正面から見つめることができないほどいい。
もともと『ブロークバックマウンテン』で共演したヒース=レジャーと結婚したが、彼は薬物で亡くなったし、『ブルー・バレンタイン』(今をときめくライアン=ゴズリングとの共演)では哀しい愛の物語を演じているし、『テイク・ディス・ワルツ』では人生に満たされない主婦だしで、この映画ではその表情からグッとくる感じだし……でたまらなかった。
終盤のセリフ、主人公に吐露する場面でも泣きそうになった。
今はCG全盛で、派手な演出に、思わせぶりな映像が受けている。
しかし、これはいかにも寒そうな、経済的にもそうらしいタイトル土地の風景を淡々と映しているだけだ。
それが効いてくる。
元妻の優しさや想いが身にしみるほど、主人公は辛くなるのだ。
それでも傷は癒される。
いやー、いい映画だった。