このレビューはネタバレを含みます
ウィンド・リバーとはアメリカ先住民の居留地の名前で、
冬はマイナス30度にもなる厳しい土地です。
9000㎢もある土地に保安官は6人だけ。
がんで死ぬより殺人で死ぬ人の方が多いと言われています。
雪の中アメリカ先住民の少女の遺体が見つかり、
解剖の結果レイプされていたことがわかります。
彼女は極寒の中を薄着のまま、数キロ裸足で走り、
肺が凍って破裂して亡くなったのでした。
だから殺人事件とは言えない、と言われたFBI捜査官ジェーンが何とか事件を解決しようと、現地のハンターであるコリーの協力のもと捜査をします。
「You survive or you surrender.」とコリーが言うように、
この土地で生まれた者は、生まれた人種の歴史と枷(かせ)を背負って生きていくしかない。
そんな厳しい現実を巧みな脚本で見せつけられる映画でした。
この事件が解決しても何が変わるわけでもないということは、
最後のテロップで分かります。
「数ある失踪者の統計にネイティブ・アメリカンの女性のデータは存在しない」
重苦しい映画ですがよくできていて、私は好きです。