どんなに頑張って多角的に考えようとしても人の主観は主観でしかないと思っているので、こういう群像劇のように一つの物事を多視点で捉えらえる構造の映画は好きです。同じ「11分間」を違う角度から見る映画。
みんな何か裏事情がありそうだけど、誰が何をヤラかすのか。誰と誰がどこで繋がるのか。繋がり方の濃淡も異なる。
一つのストーリーが1本の線だとしたら、複数の場合は人の数だけ線が増えるので、タイムラインの線が面に、面が立体になって見えてくるのが楽しい。
主要人物でない、瞬間的にしか登場しない人物にも短いストーリーがあり、ある意味で“捨て駒”がないのでワンシーンも目が離せない。
細切れでも、顔を知ってしまえば「さっきのあの人は今どうしてるんだろう」と気になって仕方がなくなるから不思議です。
複合交差体スリラーのなかで迷子になりたい人、オススメです。
いわゆる“衝撃のラスト”には特に何の感情も浮かばなかったけど、そこまでのアプローチで十分ドキドキさせてもらいました。