回想シーンでご飯3杯いける

ブレイク・ビーターズの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ブレイク・ビーターズ(2014年製作の映画)
4.0
「ブレイクダンスを“社会主義化”する」というキャッチコピーがなかなか強烈。こんな面白い映画が存在していたなんて今まで知らなかった。

アメリカ映画の影響でブレイクダンスがブームになっていた'80年代の東ドイツが舞台。しかし西側の自由経済を認めない政府は、若者の間で人気を集めていたダンスチームを国認定の芸術集団として育成し、何やら話がややこしくなっていくという、政治と音楽と青春がミックスされた、何とも異色でエネルギッシュな作品になっている。しかもこれ、実話がベースになっているのだそうだ。

基本的には個人の表現と技術を競い合う形式なっているブレイクダンスに、皆がお揃いの振り付けで踊る事を美徳とする社会主義的価値観を持ち込む事がナンセンスの極致なわけで、この辺りは、かなり分かり易く、面白おかしく描かれている。一方で、ブレイクダンスで使われるエレクトロ・ミュージックには、コンピューターを使った工業製品的な質感を持つ音楽も多く、ある意味社会主義的。その辺りの噛み合いが、コミカルであり、同時にハマッている部分もありで、なかなかマニアックな調和を醸し出しているのが興味深い。

「政府がダンスを管理ってそんなアホな!」と思う人も多いだろう。しかし、実はここ日本でも、ダンスが義務教育化される一方で、社交ダンスの講師認定制度や、風営法によるクラブやライブハウスの営業規制が存在しているので、あながち無視できない内容だと思う。