サムカワ

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのサムカワのレビュー・感想・評価

4.6
なんだか名画座にいる気分……。


とっても落ち着いた空気感と、その中でヒタヒタと募る緊張感……最高でした。


リメイク元であるドン・シーゲル監督作「白い肌の異常な夜」とやっていることが同じなのに、感情移入のポジション、度合い。シーンのニュアンスが微妙に、しかし確実に異なっていて、それがまた面白いんです。

故に映画全体のトーンも異なっていて、
ドン・シーゲル版は(かなり前に観たっきりだから記憶で話してます)スリラー映画として、ハッキリ怖いものになっていました。
とくに伍長の態度が急変する"ある行為"は、明確に憎しみの感情がありました(確か)

その点、本作は割と女性陣を擁護する描き方といいますか、その"ある行為"も善意からですし。


まぁこれ以上リメイク元と比較してもアレなんで これくらいに。


映画が始まってからタイトルが出るまでの ゆったりとしたあのショットは、とても懐かしいな〜と。
70年代とかの映画を観ているような感覚でした。

もうその時点で虜ですよ。

本作には「ナイスガイズ!」で大好きになったアンガーリー・ライスちゃんが出てる!ということが僕の中での1番の楽しみでしたが、あまり活躍せず……それでも最高に輝いてましたよ!

なにより もうエル・ファニングですよね……。
彼女に色目使われたらそりゃ……ねぇ。
ジョー・アン・ハリスとはまた違った色気が良いですねぇ〜。

暑い日にパタパタ首元を仰ぐという仕草だけで あんなにエロいとは。


「スパイダーマン」のときからブスブス言われてたキルスティン・ダンストですが、僕はもう小学生の頃からずっと美人だと思ってましたよ。

しかし!本作の前半では小うるさいババア感がビンビンで、「あ……お老けになられたか……」と思わざるを得ない風貌。
でもそれが後半に行くにつれー"女"になるにつれーどんどんお美しく見えてくるではないか!
そうか!やはり前半のそれは演技だったんだな!安心した!


そんなこんなで、割と女性陣側に感情移入していたのですが、先述した通りの昔の映画のような感覚も相まって、終盤の食卓では女性たちがレザーフェイス一家のような物々しい存在に見えてきました……。いやぁ恐ろしい。

そんな怖さの中に少し笑ってしまう展開もありました。
アップルパイの手柄の取り合いとか最高です。

これ新文芸坐とかのオールナイトの4本目とかが似合うんじゃないでしょうかねぇ。

観ている間からすでに名画座にいるような気分でしたもの。

見逃せぬ傑作でした!
サムカワ

サムカワ