環境破壊が著しい2049年の地球を舞台にしたカルトＳＦ映画の続編。
前作から30年タイレル社が倒産し代わりにウォレス社（食料危機を救った会社）がレプリカントを製造、その中の1人が主役であるブレードランナーＫという設定。30年前の遺骨からレプリカントが出産したという事実の抹消を上司より指示された彼が自分の記憶や出生の謎を辿るのですが、その発端が前作のラストと繋がっているという設定です。
前作同様に近未来の描写が凝っています。Ｋの恋人がAI搭載ホームオートメーションシステムなる存在でその儚さは印象的でした。愛情とは何なのか考えさせられました。
恐らくは描きたいものが沢山あったためか「大停電」（これは別作の短編アニメでも描かれているとか）や唐突に出てきた反組織リーダーフレイザなど消化不良気味でテンポがあまりよくないため冗長に感じました。他の方のレビューにもありましたが地域を広げたために却って前作にあった密室感のある近未来的なリアリズムが失せたような気もします。
レプリカントの定義が更にもやっとした感じになったのは良いとしても黒幕的存在と決着をつけずに完結というのは実にモヤモヤします。まあ現実重視ということなのでしょうけど上映時間が長いのにこれは残念。
再生レイチェルや老齢デッカードが登場してくるのはやはり嬉しかったです。
前作も公開当初はそんなに興行成績が良くなったそうですからまた複数バージョンを作ることで新たな展開があるかもしれません。ただし個人的には前作ほどのインパクトはありませんでした。
1番残念なのはエンディングがヴァンゲリスの例の曲でないこと。今作の曲も悪くは無いけど未来感は絶対こちらの方が合っていると思うのですが…
