SFは行きつくと哲学になる。
これは『ブレードランナー』の続編でありながら、ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』との連作だ。
『メッセージ』はコミュニケーション、意志の疎通や言語にまつわる哲学だった。
これは、人間とは何かという哲学。
母体から誕生すれば人なのか、魂があれば人なのか、生きようとする意志があれば人なのか。
狂言回しでもある主演のジョニーは、捜査という名のアイデンティ探しををするうちに、いろいろな感情にさいなまれる。
そのライアン・ゴスリングは、逆『デッドプール』のノリで、一度しか笑顔を見せない。それがまた、ハードボイルドで渋い。
テクノロジーが発達した究極の世界は人間の創造だ。それは、『鉄腕アトム』の時代から変わらない。
そして、その苦悩もずっと変わらない。
それにしても、この世界観。ヴィルヌーヴ監督は、我々の予想をはるかに超えた続編を作った。
あとは、このあとの人間対レプリカントの戦争の歴史を続けていくことを避けてほしいと願うだけだ。
「ブレードランナー」の世界観は、マーベル・ユニバースやジャスティス・リーグとは違うのだから。