アラサーちゃん

ありがとう、トニ・エルドマンのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

2.5
この時期にほとり座で上映してたんですけど、なんだかんだバタバタしてて日が合わず、絶対見れないと思ってた。でも間に合ったので鑑賞!

公開始まった頃、いろんな人の評価が高めだったので結構期待しちゃったりなんだったりするんですが。
個人的には合いませんでした。

遠い土地で自分の気持ちを押し殺して仕事に生き抜く娘を心配した父親が、彼なりのユーモアで彼女をフォローしようとする。それはとても不器用で、下手くそで、変てこだったけれど、父親の愛こそ真っ直ぐだった。やがて頑なだった娘の心も少しずつ和らいでいく…

あれ?ストーリー読むといい話じゃない?
いや、いい話なんだけどさ。

基本的に『主人公が張り切りすぎて、周囲の迷惑おかまいなしにやりたいことやって大満足』みたいなコメディが苦手なんですねそこでやっぱり思い出すのが〖奇人たちの晩餐会〗とかなんですけど。
この主人公トニも、娘イネスのために知恵を絞って彼女を励まそうとするんですが、それが彼にしか通じないユーモアなわけで、周囲からしたら爆笑どころか失笑なわけで、そういうくだりがどうにもこうにも苦手でした。

全体の流れとしては嫌いじゃないし良いと思う。
親子愛。
機械人間と化するバリキャリへのアイロニー。
ハンガリーの労働社会の実情。
最後にさんざん娘を振り回してきたトニの真意や、振り切れたイネスのとった行動も面白い。

映像も面白かった、基本的に移動ショットなのでリアル感に溢れているのはよかったし、シークエンスのつなぎ目で余韻を残したり、静止本心を見て見ぬ振りして仕事に没頭するイネスを斜めに映していたり、ピントが合わないモブ位置でウロウロしている変なおっさんは惹かれました。

だけど、やっぱり苦手なのはエルドマン化したトニのある意味暴走がどうしても苦手だったのと、それが3時間弱という長さ…この映画が90分レベルのコンパクト映画だったら大満足だったと思います。

登場人物もちょっとどうかな。個人的には、秘書のアンカがいろんな意味で天使である以外、みんな好きになれない、感情移入できない人ばっかりでした。そこも残念。
トニは意味不明だし、イネスは冷徹人間だし(そうなりきれない不安定なバランスも描かれてはいるけど)、ティムはかっこよかったのにホテルとクラブのシーンで完全にドン引き…

苦手映画をpostするのは気が引けたんですけど、不快な人はさらさらっと読み流してくださると嬉しいです。とりあえず誕生日パーティから公園のシーンまでが好き。