バナバナ

ラビング 愛という名前のふたりのバナバナのレビュー・感想・評価

3.7
1950年代のバージニア州で、白人男性と黒人女性が結婚したら、
州から“異人種間の結婚”で違法と言われ、
25年間州外退去という名の執行猶予をつけられた夫婦が、最高裁まで闘う話。

映画の中で夫のリチャードは、いかつくガッシリしていて、無骨で寡黙な人だったが、妻への愛は終生揺らぐ事はなかった。
対する奥さんは、元々田舎で大家族に囲まれて育った為、ワシントンの都会で間借りして暮らす生活にイライラしてくる。
そこで、人権弁護士の助言もあり、この家族は故郷に戻るのだが、
これがもし私だったら、もう二人だけではなく子供も居る為、
もしKKKに襲われたらと思うと、恐ろしくてとうてい戻れないと思う。

しかし、この夫婦は戻って戦うのだ。
彼らが道を開いてくれた事によって、多くの同じ様な夫婦がどれだけ勇気を与えられただろうか。

エンドロールで写っていた写真を見ると、リチャードは俳優さんの様ないかつい人ではなく、どちらかというと華奢な普通の人だった。
奥さんも普通の人。
普通の人が、恋人が妊娠したから家を買って、プロポーズをして、結婚した、という普通の事をしただけ。
弁護士さんが言う通り、これのどこが州を脅かすというのか。

当たり前の事を一方的な価値観で脅かされる事は、どこの国でも起こりうる。脅かされた時に、逃げずに戦い続けたこのご夫婦は凄かった。
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