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セールスマンのryodanのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
3.8
このモヤモヤの原因を探れば、結局行き着く所は、警察が(司法が)アテにならないという事か。警察の捜査のプロセスや方法等、市民が今まで散々な目にあったのに警察が思う様に動いてくれていない体質が常態化した結果、起きた事件。法で裁けないのなら個人の正義で。「ダーティハリー」の様に怒りの鉄槌を下すケースもあるのだろうが、今作の様なケースがほとんどだろう。検閲があるからわざと問題提起をしないのか。「別離」の時といい、あらゆる社会制度の不備が招く悲劇の原因は何処なのか、引いては国の在り方が最大の問題提起になっている気がする。各々の裁量で何とか国が成り立っているという危うさ、脆弱な箇所へ脆弱な箇所へそのひずみが表れる。それに追い打ちをかけるのが前近代的なモノの価値観だ。男子たる者、と背負いたくもないプライドを背負わされ、女は子供を産む者だから無学で良い、と抑圧的な教育を受けさせていては社会は成熟していかない。宗教とて、元は人間が決めた決まり事が発端なんだから、時代との整合性を議論する余地はあると思う。今のイランを変えようと思わなければ、いつまで経っても市民生活はスリリングなままでいてしまう事になる。
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