ごてふ

セールスマンのごてふのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.2
渋谷・文化村ル・シネマにて。さすが東急沿線富裕層御用達の小屋、お上品な単身紳士淑女ばかり、されど3割程度と少々不入り。オスカーを獲ったアスガー・ファルハディの新作でも都下上映はたった2館。興行面では苦戦か。かの国の製作ではアッバース・キヤロスタミーの素朴な初期の三部作とかマジード・マジーディーの「運動靴と赤い金魚」が印象に残っており、周囲に勧めても『あんな退屈な映画のどこが良いの?』などと云われて、大スターやスペクタクルがないと納得しない人達には本作も面白くもないか。2012年«別離»鑑賞時の衝撃は鮮明に覚えている。『世界のどこでも抱える普遍的な諸問題を織り込んだ達意のシナリオ、熟練の役者、恬淡としつつも緊密な演出で2時間全くダレ場がない。開巻の掴みとラストの余韻も秀逸。感情の襞を探り合い愛憎の交錯する人間関係はあたかも上質なミステリーの如し。』当時の備忘録(感想)がそのまま本作にも通じる。夫婦というのは究極のロールプレイである。悲劇にするも喜劇にするも我々次第。
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