ごてふ

影裏のごてふのレビュー・感想・評価

影裏(2020年製作の映画)
3.5
池袋シネ・リーブルにて。公開翌週平日夜の部。観客は贔屓男優目当てらしき単身(妙齢)女性中心に20名弱。芥川賞を獲った原作小説は既読。キーワードはLGBTと3/11。主人公の性的嗜好と天変地異という全く異なるファクトがジワジワと東北・盛岡の淡々とした日常生活に亀裂を入れる。謎の失踪をする友人は偏在する厄災の予兆のような存在だろう。 柘榴・流木・蛇・苔・川魚などなど隠喩として登場する土着性アイテムの数々がいかにも純文学らしい。小説には行間があるように映像には陰影がある。主演の男優ふたりは適役。芝居の上手下手以前に色気とかオーラがありますな。ダイナミックなアクションものが得意とばかり思っていた大友監督がこれほど内省的な作品も撮れるとは驚いた。地味ではあるが原作ファンは必見の佳作だと思ふ。
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