たりほssk

ルイ14世の死のたりほsskのネタバレレビュー・内容・結末

ルイ14世の死(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

死に向かう過程のみに焦点を当てるという大変な異色作で、その描き方も非常に興味深いものだった。ヴェルサイユ宮殿を作り栄華を誇った太陽王ルイ14世が死にそうだというのに、周囲の医師や側近や貴族たちに悲しみや焦りといった感情の高まりは見られない。積極的に治療をしようという姿勢もあまり見られない。彼らとただ様子を見守られながら衰弱していくルイ14世の映像が淡々と続く。しかし退屈はしなかった。画面には余計なものが一切感じられず、まさに顕微鏡で彼らを「観察」しているような今までにない感覚を味わったからである。
その中でジャン=ピエール・レオの存在感は圧倒的だった。特にワインに浸したビスケットをかじった後の彼の視線は忘れられないほど訴えるものがあって素晴らしかった。しかし王は孤独に見えた。もはや即物的でもあった。それは医者の最後のセリフを聞けばわかる。

また本作は300年ほど前の出来事の形をとりながら、一国の王の死を劇的なものでなくありきたりなものとしてとらえることによって、現代における死についての問題をも投げかけていると思う。
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