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ブンミおじさんの森のninjiroのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
3.7
版図にない場所へ


そこは、人の踏み入らない獣道。
帰る道など気にせず、そのままおいで。

さあ、共に生きよう。
その気があるなら、
入っておいで。

終始乾いた仮面のような感情の表現と対称的に、
「どぅるり」とした重い流動感、
湿った質感を持った生命の運動。
それは、血管を流れる血のような絶え間のない循環。

一生毎ではなく、
一生のうち何度も生まれ変わる私たち。
死は魂の終わりを意味するのではない。
生と死の間には境目などない。
人がそれと見定めた死がもたらす祭事以外には。

虫であろうが、牛であろうが、なまずであろうが、王女であろうが、共産兵であろうが、独裁者であろうが、精霊であろうが、
それらはすべてふと生まれた魂たち。

その魂たちの見る夢は物質を超えて、
私たちの日々の営みや魂を見つめて、時に干渉する。

胡蝶の夢。

私が夢に落ちる前、私が覚めた後、
いつも変わらぬ私である保証など、
どこにもない。
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