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藍色夏恋のSPNminacoのレビュー・感想・評価

藍色夏恋(2002年製作の映画)
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想う人に想われず想わぬ人に想われて、切なく甘酸っぱい片思いのトライアングル。君も私ももし〜じゃなかったら幸せな17歳だったのに、世の中は不公平だよね。
夜のプール、部屋で踊るガールズ、青春映画定番がここにも。そしてその場面は一つ一つ、連動して変奏されていく。林月珍と横顔が並ぶ校庭は自転車で隣り合わせる孟克柔と張士豪の横顔へ、或いは床を蹴るショットは恋の燃えかすを踏むショットへと。自転車、水泳、ダンス、小突き回したり、追いかけ回したり、キスしたり。映画はそのアクションでもって、すれ違いながら併走する3人の恋路を物語る。
真っ直ぐな視線を向ける孟克柔の立ち姿だけでも雄弁な画になるし、静止する周囲と動き続ける孟克柔と張士豪の対比も鮮やか。そして校庭の芝生、廊下の観葉植物、プールの揺れる水面、街路樹、街の灯り、水槽…すべてが藍色に照らされた夏。どの場面もすこぶる美しくシネマティックだ。なんて清々しく瑞々しい、だからこそ切ない青春映画だろう。
ショートカットの制服女子と、柄シャツを翻す男子。グイ・ルンメイのキリリとした佇まいがカッコよく、林月珍のリャン・シューホイもまた愛おしい(その後が気がかり)。チェン・ボーリンはほんと屈託無く明るいイケメンくんでまぶしかった。
3人は書くことで想いが叶うと信じるが、それぞれ書き残した想いは違う。親友になれても恋人になれない、恋人にはなれなくても親友になれる。孟克柔の女の子への想いは確定しないで終わるけど、それでいいのかもしれない。誰にでも大小の秘密があって、誰の未来も確定しないままだから。この先何度も夏は来るのだ。
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