ひろぽん

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのひろぽんのレビュー・感想・評価

3.4
アメリカの有名な小説家J.D.サリンジャーの伝記映画で、作品を出版社から拒絶されたり、戦争で地獄の体験をするなどの苦悩などの半生を描いた物語。


『ライ麦畑でつかまえて』の小説を読んだことがないから切実に読んでみたくなった!読んでから鑑賞するとまた違う見方ができそう。

冒頭は華やかな感じなのに物語が進むにつれ、ドンドン重く暗くなっていく雰囲気が彼の人生を表しているかのようにも思える。

コロンビア大学の教授ウィットがサリンジャーに不採用を続けるが、人柄を見極めるために不採用にしていたというオチのシーンめっちゃ好き!!

戦争では失うものが多く得るものなんて何もないと思ってたのに、こうやって戦地の中書き綴て世界から注目を浴びるものが生まれると思うと不思議な気持ちになる。


愛するウーナはチャップリンと結婚し、自身は戦地の最前線に駆り出され、その後生き延びるも後遺症に悩まされるという絶望の中、彼の唯一の救いは「書く」こと以外に何もなかったのかもしれない。結婚し子どもが生まれようとも、小説が売れ世間から注目されようとも。

孤高の繊細な天才サリンジャーが生きた時代は彼にとって生きにくい世界だったのかもしれない。
彼の自身の主張を曲げない不屈の精神や、誰も行かない道無き道を迷わず進むところに才能を感じる。
ハッピーエンドで終わる作品が多い時代の中、現実的な生きる辛さを全面的に表現しようとする当時唯一無二のリアリズムがヒットした要因なのだろう。

彼の生き様のように決して譲れない美学を自分も持ちたいなと思わされた作品。
ひろぽん

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