回想シーンでご飯3杯いける

ハイジ アルプスの物語の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ハイジ アルプスの物語(2015年製作の映画)
4.0
19世紀にスイスで書かれた児童文学「アルプスの少女 ハイジ」の、スイス本国製作による映画版。これまでにも何度か映画化されているものの、僕が鑑賞するのはこれが初めて。そして、これがなかなか侮れない。

驚いてしまうのは、屋根裏の干し草ベッドや、山羊追いの少年ペーターとの雨宿り、ヒステリックなロッテンマイヤー、ハイジの夢遊病、そしてストリートオルガンの少年まで!宮崎駿と高畑勲が製作に携わっていた日本版アニメで紹介されていたエピソードが全て取り入れられている事。

これは日本版アニメが原作に忠実であった証でもあるのだろうけど、実はそのアニメはスイスで何度も放送されているらしく、本作のスタッフも多分に意識しているのだろうと思う。

アニメ版を観た子供の時ではイマイチ気付かなかった、使用人セバスチャンやクララのお婆さん、掛かりつけ医師等、脇役の優しさを含めた群像劇としてとても良く出来た物語である事が分かる。更に(恐らくアニメ版では描かれていなかった)ロッテンマイヤーのゼーゼマン主人に対する恋心の描写があったりと、2時間弱でほぼ完璧な構成。懐かしさと新鮮な驚きが味わえる素晴らしい作品に仕上がっている。