ずどこんちょ

鋼の錬金術師のずどこんちょのレビュー・感想・評価

鋼の錬金術師(2017年製作の映画)
2.5
少年漫画の、およそ実写化を目指して作られたわけではないであろうバトルアクション漫画に果敢に挑戦し、世界観を再現するのは工夫のいる大変なチャレンジだったと思います。

幼い頃、亡くなった母を蘇らせる人体錬成の錬金術に不用意に手を出したため、大きな過ちを犯したエドワードとアルフォンスの兄弟。結果として、エドは左足を失い、全身を失った弟の魂を取り戻すため右腕を代償に失いました。
二人はアルの身体を元に戻すため、質量保存の法則に則らずに錬成術を行うことのできる賢者の石を求めて旅を続けていたのです。

国内はもちろんのこと、イタリアなどの海外でもロケを敢行して漫画の世界観を表現しているのですが、だからこそ田園風景や石畳の街並みが美しいです。
海外の舞台に日本人がいるというコスプレ感は意識してしまうと目についてしまうでしょうが、逆に意識して見ずにストーリーに注目していれば人種がどうとかいう定義は無くなって、自然と"そういうもの"になるから不思議です。

大泉洋演じる国家錬金術師のタッカーが、不気味な合成獣を作り出したエピソードは胸糞悪くて吐き気がしました。いやぁ、いくらフィクションでも非人道的すぎて気持ち悪いです。
冷酷非道。子を持つ親としてあるまじき禁忌です。でも、なんだかとってもハマり役です。マッドサイエンティストそのものの人を嘲るような笑い方で素晴らしい怪演でした。
最近、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見ていて、その非情ぶりに恐怖すら覚える源頼朝を演じる大泉洋さん。悪人役や人を騙す役が多いのは、普段の朗らかでユニークな彼のキャラクターの裏に隠された、悪意の部分が色んな人に見えているのでしょうかね。
大泉洋の悪役、サイコパスな感じがして割と好きです。

最後は信じられないほど夥しい数のゾンビモンスター襲来。そして、「キャリー」ばりの業火の炎。
ファンタジー漫画だと思って油断して見ていると、途中途中で気味の悪い描写もあってゾッとしました。