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ガザの美容室のcomaのレビュー・感想・評価

ガザの美容室(2015年製作の映画)
3.0
パレスチナで女として生まれることのリアルを85分で見せるのに、美容院という舞台、ワンシチュエーションを選ぶセンスが好き。
知らない世界について知るための映画。

パーマネント野ばら
キャラメル
髪結いの亭主
美容室が舞台の作品はわりと好きなのです。その土地の文化や個性がむき出しになる場所だから。

男性に髪を見せてはならない。その理由でカーテンで外界と隔たれた女だけの空間。
異国から嫁いできたオーナーの娘は外で遊ぶ男の子を羨ましそうに見ている。
一刻も早く別れた方がいいよと言いたくなる様な、危険な男に惚れてしまっている従業員。
両家の母親の板挟みになっている花嫁。
臨月の妊婦。
夫との関係に問題のありそうなくたびれた女性たち。
離婚の相談を持ちかけている弁護士を狙っている女。
居住区から自由に外界に出ることの出来ない彼女たちだが、それぞれ想像したよりもパワフルな人格の持ち主だった。

カーテン1枚隔てた美容室の前まで、男たちが爆撃や銃声の気配を連れてやって来る。室内ごと揺らすような爆撃に身を縮める彼女達は当事者なのに蚊帳の外に置かれている存在に思えた。
そんな彼女たちが、もし一国の大臣になったなら…?そんな夢想を口にするシーンがあるが、いつか実現する日がくればパレスチナの抱える問題も形を変えるかもしれないなと思う。
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