HicK

メリー・ポピンズ リターンズのHicKのレビュー・感想・評価

3.7
《魅力溢れるもリメイクに似た続編》

【オルタネイティブ】
親や子供、彼らを取り巻く人物たちの立場、そしてそれぞれのシーンが持つ"色"も前作と非常に似ている。続編というよりも別バージョンという印象を受けた。メリー・ポピンズは子供たちの為ではなく、実は大人を助けにやってくるという前作の裏テーマも引き継ぎ、DNAを非常に強く踏襲した作品だった。

【物語の重み】
前作以上に掘り下げていたのはバンクスファミリーの苦悩。彼らが置かれた立場は更に過酷で悲劇的。いかにその窮地を父マイケル・バンクスが乗り越えるかがメインとなるので、前作よりも親にも焦点が当てられていた。少し重い背景から、作品全体にもダークさが漂っているように感じる。

【楽曲】
楽曲のメッセージ性も強くなっている。前作の言葉遊びも受け継ぎつつ、一つ一つの曲には更に濃い「前向きな人生の教訓」が込められていた。「♪Can you imagine that?」が頭に残り、作品全体を通しても一番BGMとして多用されていた。インストルメンタルにするとさらにマジカルで少しミステリアスな雰囲気が出て、前から存在していたのではないかと思うほどメリー・ポピンズの雰囲気にぴったりの楽曲。

【総括】
独自の掘り下げはしつつも、全体的には前作を踏襲し過ぎて続編としての魅力には欠けるかもと思った。リメイクではなく、もっと自由な続編を見たかった。それでも、(踏襲しただけあって)質の高いエンタメには違いない。エミリー・ブラントは良かったし、楽曲も素晴らしかった。
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