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哭声 コクソンのkotchanのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
4.1

「疑え。惑わされるな。」

ってことだったので疑いながら観たけれどスッカリ惑わされてしまいました(^_^;)
目に見えるものを信じるあるいは信じたいと思う心の隙を突いて、見ているものに疑念を抱かせ、見えないものを信じこませる。そんな作品に感じました。
キリスト教の要素を取り入れているので、聖書の知識などがあればより一層楽しめると思う。こんなの楽しい映画じゃない!って方もいらっしゃるかもしれないけど、僕はスッッッゴい楽しかったし面白かった♪( ´▽`)
主人公ジョング(クァク・ドウォン)のヘタレ具合とキョド顔がクドいくらいだったし、よそ者日本人・國村隼の怪しさがゾクゾクするけど同じ日本人としては大変誇らしく思うし、みんな大好きお祓いシークエンスはファン・ジョンミンが祈祷師役だからたまんなく胡散くせぇーけどサイコーに楽しいし、ヒョジンがゴロゴロのたうち回るシーンや豹変する場面なんかキム・ファニの怪演でしかないでしょ。すんごい子役がいたもんだネ(*_*)

ナ・ホンジン監督の前2作(『チェイサー』『哀しき獣』)とは対極的で、シャーマニズムな作品と言える今作は、悪魔や悪霊といったワードが頻出するオカルト色が強くホラーな映像も多い。ナ・ホンジン監督らしい二転三転する展開は本当にお見事。なんですけど、ジョングがヘタレすぎのビビりすぎには多少イラつくこともあるし、勿体をつけた演出がせっかくのスピード感にブレーキをかけてしまっていて、疾走感に欠けるのは残念なトコ。156分とやや長めのランニングタイムも130分くらいには短縮できそう(勝手な意見)。
なので、作風も含めて僕は前2作の方が好みではあるんですが、こんな作品はしばらく出てこないんじゃないかな。10人観たら10人とも解釈が微妙に違うんだろうね。監督があえてそんな作品づくりをしているから当然なんだけど、真剣に観れば観るほど惑わされるし、何が真実か混乱してくる。現実を疑って非現実を信じるなんて、実際にはなかなかできないんだろうな。こちらの固定概念を大きく揺さぶってくれる傑作です!

韓国2大映画祭のひとつ「青龍映画賞」の男優助演賞と人気スター賞をW受賞した國村隼さん、2大映画祭のもうひとつ「大鐘賞」の新人女優賞を受賞したキム・ファニさん、ともに受賞も納得の素晴らしい演技でした。おそらく日本ではあんな起用できないだろうってくらいの國村隼さんが新鮮でしたし、キム・ファニさんの絶叫はしばらく耳に残りそうです(*´Д`*)

ちなみに、ジョン・ウー監督作『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』っていう25年前の映画がありまして、殺し屋の役で國村隼さんが出演してます。今より細身でギラギラしてて出番は少ないけどカッコ良いんだぜぇ‼︎ オープニングクレジットで「國村隼」の英語表記が「Y YONEMURA」になってて悲しくなるんだけどねー(~_~;)
*「米村(よねむら)」は國村さんの本名です
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