こたつむり

ディストピア パンドラの少女のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.4
★ ディストピア…僕たち、ピンクの排泄物

ふほほ!これはいい、いいですよ!
不穏な空気が漂う中、車いすに拘束された少女が移動する冒頭の場面からして既にツボ。背筋にぞくぞくするものが走りましたよ。いやぁ。この鋭敏な感覚は好きだなあ。

その後もウンウンと首を振るほどに陰鬱な場面が続き、一枚、一枚と世界が露わになっていく展開は、身体中の穴という穴から液体が流れるくらいに興奮の極み。むふー。むふー。

この惚れ惚れとする出来栄えは、製作者の中で世界観がキッチリと構築されているからなのでしょう。芯がシッカリとしているから、物語の全貌が見えても肩は下がらないのです。

また、登場人物との距離感が素晴らしく。
主人公だけではなく、その脇を固めるキャラクタにも血肉が通っているため、視点が独善的にならないのです。“正義”は一面だけで語れませんからね。物語に奥行きが生まれるのも当然なのです。

ただ、穿った視点で言えば。
手垢のついた題材であるのは事実。
ネタバレを避けるために具体的な記述は避けますが、本作が取り扱っている事象は、ひとつのジャンルとして確立しているのです。

しかし、視点を少しだけ変えるだけで。
あるいは、筆致を変えるだけで。
古ぼけた題材は新鮮な味わいを取り戻すことが出来る…と、本作は提示しているのわけで。そりゃあ、鼻息が荒くなるのも当たり前ですよね。むふー。むふー。

まあ、そんなわけで。
退廃した世界の中で希望を見出す物語。
人を選ぶ作品ですが、ホラーよりもSFとして臨んだ方が楽しめると思います。また、本作を存分に味わうためにも、事前情報は極力仕入れないことをオススメします。

ちなみに鑑賞後に連想したのは、藤子・F・不二雄先生の某短編。SF界に燦然と輝く巨匠と同じ方向性…というだけでスゴイと思います。むふー。むふー。