たつかわ

幼な子われらに生まれのたつかわのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.4
女と男の違い

元々21年前の原作だが、当時であればなかなか共感できないし、
客観的にみることができない可能性があったかもしれないが、
夫婦観や家族観そして結婚観が変わった現代にハマった作品だと思います。
また、昨今騒がせている不倫はでてきません。

主人公は酒席や休日出勤を断り、家庭を優先してきた。
しかし、商社マンだった主人公が、左遷による出向で、
倉庫での機械音で指示されながらピッキング作業を毎日永遠とやる仕事に就く。
そして複雑な家庭を持つ一人の父親として生活していた。
その中で新しい命が宿ったことがきっかけで、家族がバラバラになるお話。

主人公演じる浅野忠信は「沈黙」,「淵に立つ」では豹変するかの
ごとく突然キレるのだが、本作では上記2作とは違い
徐々に行動で沸点が上がってくる様をうまく演じている。
また他の大人の役者も子役も素晴らしい。

本作は家族というよりも女性と男性の違いをテーマにした作品だと思います。
主人公とその長女の関係や、中盤で寺島しのぶが主人公に言ったセリフが象徴的だが、
このセリフはどんな男にも胸に刺さる。
また主人公が有名無実した家長制に縛られた男に見え、
自分のことのように考えてしまった。

終わり方はハッピーエンドかと思いきや長女の顔だけ切り取ると、
そうとは言い切れない表情が良かった。

おススメです。
たつかわ

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