たつかわ

モーリタニアン 黒塗りの記録のたつかわのレビュー・感想・評価

3.7
黒塗りの恐怖

911以降、テロと関係していると疑われ、グアンタナモへ移送され、10年以上にわたり拉致・監禁されてしまうというモーリタニアン男性のお話。

本作はエンターテイメントとしての映画よりも、知らないから知ることを重視した作品ですので、面白い法廷劇やグアンタナモからの脱出劇といったものは一切ありません。ただただ事実を主にストーリーテリングしているだけといった作品です。

グアンタナモに法廷がないため、リモートでグアンタナモにいるモーリタニアン男性につないで、その場で宣誓をしたりするところがちょっとだけ笑いました。しかし、面白かったのはそこだけです。

後は驚き、がっかりの連続でした。がっかりは、共和党ブッシュ政権から民主党オバマ政権になった時に、話が動くのですが、結局はそこから8年間もグアンタナモにさらに居続けるという事実は何のための政権交代だと思いましたが、逆にそれだけ911の恐怖が大きかったとも言えます。それでもこの主人公のような人が多くいることを考えると残念な話です。

最後の実際の主人公の会話を見ていると安心しました。

主人公が獄中で書いた手記は、一部黒塗りのままで様々な言語に翻訳されて世界中で売られている。もちろん日本語訳も存在し、本屋に並んでいました。手に取り、読むと黒塗りの部分を見ると怖いですね。

おススメです。
たつかわ

たつかわ