シズヲ

西部地獄街のシズヲのレビュー・感想・評価

西部地獄街(1937年製作の映画)
3.0
西部地獄街!!言うほど地獄か?50分前後のB級短編西部劇。どうやらリメイク作品らしいけど、本作自体が古いのでその辺りはあまり詳しくない。そしてまたまた若い頃のデューク、今回は饒舌な相棒と組んで根無し草の流れ者だ。やっぱり細いし妙に爽やかなので微妙に違和感はあるが、体格は良いので突っ立ってるだけでも威厳の片鱗が見えてくる。

冒頭のカウボーイ軍団VS牛泥棒軍団はちょっとカットの切り替わりが悪い意味で激しくて状況把握がしづらいし、露骨な早送りも頂けない。ただ牛の群れが所狭しと行き交う様はやっぱり往年の西部劇らしい動的なインパクトがあって良い。牛泥棒との対峙や従兄弟とヒロインを交えた三角関係など話の軸にそこまでグルーヴ感は無いし、展開の抑揚もいまいちで全体的には面白味に欠ける。でも終盤にトムがポーカーの達人であることが発覚してからのスピーディーな展開はカタルシスがあって楽しい。それだけにトム周辺の掘り下げはもっと欲しかったかもしれない。「避雷針は必要か?」「たった今稲妻が落ちたところだ」とか「今度は味方に付く側を間違えなかったな」など、粋でユーモラスな下りがちょくちょく出てくるのも憎めない。

しかしヒロイン役のマーシャ・ハント(美人で素敵だ)、後にリベラル的思想ゆえに赤狩りの犠牲者になったり同じ立場のダルトン・トランボが手掛けた『ジョニーは戦場へ行った』に出演してたりと中々興味深い。それと「ここは昔に大虐殺が起きたからインディアンがいない」「へえ、それは好都合だ」という会話がしれっと出てくるのでさりげなく恐ろしい。
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