たまには短編映画も齧りたくなる。パパ活で生計を立てる売り専のあんちゃん、冬の日にふらりと現れた雪女と同居する。夏になると行き場を失う彼女の胸には、海への憧れがあって……。
土台の設定からして何だかユニークというか、どこか一癖ある読み切り漫画のような味わいがあって憎めない。鳥居みゆきが演じる雪女のキャラも不思議な愛嬌と可愛らしさがあり、全編に渡って何とも言えぬユーモアが漂っている。2連続パパ殺しをすっとぼけた調子でさらっと描いたり、そのうえでなんか共同生活が成立してしまうノリが好き。氷漬けになった自宅のセットや終盤の浜辺でのロングショットなど、撮影も中々悪くない。チャリンコ相乗りの奇妙な絵面が良い。
タイトルにもなっている“お金”の部分はいまいち作中のテーマやオチとして活きている感じはしないし、主人公のパパ活設定のニュアンスも正直よくわからない。この辺りの要素と主題の結びつきについては、主人公と雪女のコミカルな雰囲気ではぐらかされているような印象。露骨にエモーショナルな挿入歌と主題歌の雰囲気も余計な過剰さに感じた。とはいえ15分ほどの尺なので、何だかんだ憎めない程度には収まっている。
