磨

潜水艦クルスクの生存者たちの磨のレビュー・感想・評価

3.5
2000年、ロシアで実際に起きた原子力潜水艦事故を、当時の関係者の証言やリサーチを元に映画化したノンフィクション作品(一部はフィクション)。

ルクセンブルグ作品だが、レア・セドゥやコリン・ファースなど欧州を代表する俳優陣が出演。濃密な人間ドラマにさらに厚みを加えている。

狭い艦内をダイナミックに撮った映像は想像以上の大迫力で、予期せぬタイミングで起こる大爆発は下手なホラーより余程ビビる(笑)
創作部分のドラマや、家族の物語も同時に進行していくので見応えも十分。レア・セドゥの存在と演技力は大きい。


ただ、この物語は切なく悲しすぎる。

コレに関しては先に事件を調べてしまった事もミスだったかも…。さらに沈没事故というテーマが、例の事故のあった翌日に鑑賞ということもあり、かなり重く感じた。

やはり潜水艦映画はドッキドキでヒリッヒリの緊張感や緊迫感を味わえる“完全創作”が一番かな、と改めて思う。
『潜水艦映画にハズレ無し』という決まり文句は間違ってなかったけどね(笑)


というか、3年前に公開した「ハンターキラー 潜行せよ」のクランクアップ後に亡くなったミカエル・ニクヴィストが出演しているので、かなり前の公開作品を現在の状況を鑑みてから引っ張り出してきたと思われる。

現在の世界情勢を鑑みる一般的な見方としては、乗組員の命より軍事機密や国の権威保持を優先するロシアという国は…。と、いう感想が模範解答なんだろうけど、潜水艦というのは機密事項の塊みたいな存在だし、程度の差はあれどこの国でもこうするのかも?…というのが自分の正直な見解(“程度の差”が重要なんだろうけど)


上記の沈没問題含み、狙う狙わない別にしても“時事映画”としてどストライク過ぎなのも問題なのかもと思った(クリアな頭で観たい人)
磨