ぴよぴよ

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のぴよぴよのレビュー・感想・評価

3.8
ノーマークの映画だったけど、近くの映画館で突然(知らなかっただけかも)上映が始まったので見に行きました。

ハーケンクロイツが中央に描かれたそのポスターから想像したのは、ナチス高官暗殺を試みる勇敢なスナイパー達が活躍するアクション映画…でも実際は全く違ってました。

ポーランドに駐在しているナチス高官フリードヒを暗殺しようと、ポーランドとイギリスの特殊部隊数名が編成されます。彼らは綿密な作戦を練ってフリードリヒ狙撃を実行。でも待ち受けていたのは"血の報復"と呼ばれるナチスの激烈を極める犯人探しの追求でした。とうとう居所を突き止められたスナイパー達とナチス部隊との死闘が始まります。

命の重さは人数では計れない…でもたった一人のナチス高官暗殺計画に対する復讐が、大勢の市民の殺戮だなんて!しかもフリードリヒはユダヤ人大量虐殺の首謀者なのに…。何の躊躇もなく人が人を抹殺していくその怖さ。

辛過ぎるからもう戦争映画は見ないと思っているのに何故見てしまうのだろう。そこには人間の愚かさ、弱さ、傲慢さが全て詰まっているから?

戦争の不条理はいつの時代も人間の愚かさをあぶり出す。平和な世の中に生きる私達は、実話に基づくこの映画の真実をもっと見つめなおさなきゃいけないのかも。

内に秘めた情熱を静かな瞳の中に抱える主人公に、キリアンマーフィーは適役でした。
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