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RAW〜少女のめざめ〜のemilyのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.5
厳格なベジタリアン一家に育った16歳のジュスティーヌは、獣医学校に入り、寮生活をはじめる。しかしそこの新入生の通過儀式で生肉を食べることを強いられ、家族のルールを破り生肉を口にしたジュスティーヌは、隠し持った本性が徐々にあらわになっていく。。


引きで一本道を捉え、角度を変え、交通事故を描写。しっかり映し出された空をバックに不気味な音からのタイトルコール。圧倒的な色彩美、細部をきらびやかに捉え、目線を交差させ不穏な音楽が寄り添う。

生肉を口にした翌日から肉に対する欲が止まらなくり、生々しくグロテスク 、抜群のタイミングで音楽が重なり、欲望に侵された少女の心情と止まらない欲求を見事な配置、色彩で捉えていく。色のコントラスト、その混じり合い、青と黄色のペンキがほんのり混じり合い、開けられた禁断の扉はさらなる扉を開いていく。

青春の瑞々しさとグロテスク。可愛さと醜さ、極端なものが見事に混じり合い、閉鎖空間で繰り広げられる現実離れした日常は常に観客の心を掴む。禁じられたものが解放された時、人はとどめを知らない。誰しもにあるその秘密の扉、開ければ地獄の幕開けなのか?それとも目先の欲求が満たされて幸せを感じられるのか?少女のめざめを疾走感と相反するものとで捉える。そのカットの一つ一つが素晴らしく芸術的で、その一方で生々しく血生臭い。まさに唯一無二の世界観だ。
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