アニメ版を一部見たことがあるだけだけど、窪田正孝の存在感が主役カネキにピタアっとハマっていた。
もうそれだけでほぼ成功と言えると思う。
戦闘服に身を包んだ彼が、細くやさしい声で敵対する相手に話しかける所は、この映画一番のシーンだと思った。
助演の清水富美加、アクションシーンも意外にカッコよくて、これまた拾い物。亜門役の鈴木伸之もぴったり。
蒼井優は魔性役を楽しそうにこなしていて良い。（ex:ドラマ・ゆとりですがなにか続編とか）
CGや衣装のデザインもセンスよくて、美しく映像化されていたのでは。
種之助さんの出番少なくて残念でした。
大泉洋だけは違和感がすごかったけど、アニメを見た時も真戸はそんな感じだったので、原作に忠実な映画だったのだと思った。
カネキくんの葛藤、我が青春時代のバイブル夢枕獏の『幻獣少年キマイラ』を思い出した。
何かに変貌してゆく己に慄く若者。
変わりたい、変わりたくない、アンビバレントな思いに引き裂かれる苦痛に身悶えする様は、同世代の若者に響くと思う。
この映画は、そんな若者が大人になるイニシエーションを軸にした物語としてキチンと作ってあり、よかったと思う。
ワタシはもうその年齢を超えてしまったし、多くの人気漫画は若者たちの為に作られていたりするから、しだいに漫画を読まなくなった。
自分の子供達がその年齢にさしかかった今、懐かしい気持ちで振り返る、漫画はそんな物になってしまった。
