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浮雲のlarabeeのネタバレレビュー・内容・結末

浮雲(1955年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

小津や黒澤は観たことあるが溝口と成瀬は未視聴。これが何と65年前。今でも評価が高い邦画の金字塔であり当然期待値高く、観る前にハードル上がってて。
小津や黒澤を初めて観た時、やはり凄い!と衝撃を受けたが今回も期待。
で観終わってから先ず最終に感じたのは、面白かったが「そこまで凄いか?」と言う事。
おそらく今ではこんな不倫や愛憎劇は珍しく無いので当時としては衝撃的で高評価だったのだろう、と。
感想は、男はいつの時代も変わらず情けない。そして清純からあばずれまで演じている高峰秀子が素晴らしい。
と、ここまでは観た直後の感想。
そして一日経ちもう一回噛み締めてみると、何かあの世界観をもう一度感じたくなる奇妙な後味が沸き起こって来た。
男はいつの時代も情けない、そして女はいつの時代も逞しい。だから観ていても「おぉ、さすが名画、感動した!」と言う特別感無く普通に(時代設定は別として)今でも珍しく無い話やん、と思ったが…。良く考えてみるとそこが凄いやん!と。
つまり今でも珍しく無い話を65年も前にサラッと撮ってしまっている所が実は凄いのでは無いか。
女は外人にナンパされてそのまま娼婦に身を崩したり、男は不倫相手と泊まりに行った宿の嫁さんとデキちゃったりもう無茶苦茶やん(笑)
だが今の時代でもそんな無茶苦茶もあり得て違和感無い。また男を演じている森雅之が丁度いい情けなさ(笑)。主役二人とも良かった。
時代背景は別として今でもリメイク出来る内容と思う。実際、吉永小百合と松田優作でリメイクの話もあったようだが観たかった。
そして最後は死別するが結局添い遂げてるのでハッピーエンドではないか。観終わって嫌な感じはしない、というか、清々しい。
観た直後より一回寝かせて思い出した方が評価が高いという、翌日のカレーが美味しいのと同じ理論で3.5点。
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