このレビューはネタバレを含みます
中学生の頃に、映画館で見た作品。
このほどDVDで見返してみて、大森監督の軽妙な作風と、織田裕二の画面の中での軽やかさ、芝居掛かった軽薄さは、相性が良いと感じた。織田裕二には、カッコつけた芝居が似合う。
そして、このころの市原隼人はピュアで将来有望な若手俳優だったのにな…と切なくなった。
中国人、韓国人の俳優が演ずる仲間との友情など、友好映画のような趣を強く感じた。ボーダレスで良い雰囲気だ。一方で、カンフーの使い手っぽい暗殺者には不気味な魅力が。
ベタな展開とケレン味のある演出、嫌いじゃない。ちょっともったいつけすぎな感じで、テンポが悪いけど。ちょいちょい80年代の香りがするけど。
前半、主人公が計画に乗り気でなく、文句ばかりなので、イマイチ乗り切れない感じがするし、ひとつめの仕掛けには察しがついてしまったが、渡辺謙との腹の探り合いが始まるあたりからグッと面白くなる。適度に挟まれるアクションなど、終盤にかけて見応えが。しかし、結末は少々拍子抜け。
上海の街並みは華やかで、日本の風情ある花街との対比になっているのも面白い。おそらく一発勝負の撮影だったであろう、終盤の爆発シーンなど、洋画では出せない味がある。クライム映画好きとしては、漫画のような軽快なタッチで楽しめて、悪くなかった。冒頭は『スティング』のオマージュか?