ごてふ

エタニティ 永遠の花たちへのごてふのレビュー・感想・評価

3.5
銀座シネスイッチにて。トラン・アン・ユンの新作には場内婦女子9割が占め4割程度しか埋まらず微妙な客入り。都下単館、全国でも10館の興行は、この監督と豪華キャストの実績からすると驚くほど小規模。前作≪ノルウェイの森≫から6年経つのですな。長いブランクは資金集めに苦労したそうで、観れば納得。19世紀末からのブルジョア家庭の3代にわたるファミリーヒストリー。一族の絢爛豪華な貴族の如き浮世離れした生活。泰西名画が動き出したような典雅な絵造り。宮殿のような室内で冠婚葬祭と花鳥風月が延々と描かれる。科白はほとんどなく無数の抱擁と無数の接吻。ただそれだけで夫婦・親子の鍾愛が表現される。『青いパパイヤの香り』以来この監督の諸作はドラマ部分より画面の色彩・透明感に感動した記憶しか残っていない。今回更に秀逸だったのは女優陣が大変美しく撮られていたこと。劇場でしか得ることが出来ない恍惚感というものは確かにある。
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